人との関係で、こんなことはありませんか
「相手のちょっとした反応が気になって、嫌われたのではないかと不安になる」
「関係が悪くなるのが怖くて、本当は嫌でも相手に合わせてしまう」
「つらいときに誰かを頼りたいのに、うまく頼ることができない」
「親しくなりたい気持ちはあるのに、距離が近くなると苦しくなる」
「相手のことばかり考えて、自分がどうしたいのか分からなくなる」
人との関係で同じような苦しさを繰り返していると、
「どうして私はいつもこうなってしまうのだろう」
「もっと気にしなければいいのに」
と、自分を責めてしまうことがあります。
けれど、人との関わり方には、その人の性格だけではなく、これまで人との間で経験してきたことや、そこで身につけてきた「人とどうつながるか」が関係していることがあります。
それを理解するための一つの視点が、愛着(アタッチメント)です。
人との関わり方に「愛着」が関係していることがあります
愛着とは、私たちが不安や心細さを感じたときに、誰かとのつながりや安心を求めることに関わる仕組みです。
幼い頃から、人は身近な人との関係の中で、
「困ったときに助けを求めても大丈夫か」
「自分の気持ちを出しても受け止めてもらえるか」
「人に近づくことは安心できることなのか」
といったことを、さまざまな経験を通して学んでいきます。
そして、その後の人間関係の中でも、新しい経験を重ねていきます。
そのため、誰かとの関係が不安になったときに、相手とのつながりを強く確認したくなる人もいれば、傷つくことを避けるために距離を取りたくなる人もいます。
同じ人でも、安心できる相手とは自然に関われるのに、特定の関係では強い不安や警戒が出てくることもあります。
愛着という視点は、人をいくつかのタイプに分けて決めつけるためのものではありません。
人との関係の中で、自分にどんな反応が起こりやすいのかを理解するための一つの手がかりとして考えることができます。
「近づきたい」と「傷つきたくない」の間で
人との関係では、一見すると矛盾しているような気持ちが同時に生まれることがあります。
「離れていくのは怖い。でも、近づきすぎるのも怖い」
「分かってほしい。でも、本当の気持ちを見せるのは怖い」
「助けてほしい。でも、人に頼るのは怖い」
「嫌われたくない。でも、相手に合わせ続けるのも苦しい」
そのため、相手が離れていくように感じると必死につながろうとする一方で、関係が近くなりすぎると自分から距離を取る、といったことが起こる場合もあります。
また、本当は怒っていたり傷ついていたりしても、関係を壊したくないために言えず、あとになって苦しくなることもあります。
こうした反応を、
「依存しているから」
「人付き合いが苦手だから」
と一つの言葉で決めてしまうのではなく、
「この関係の中で、私は何を怖いと感じているのだろう」
「本当は相手にどうしてほしかったのだろう」
と見ていくことで、自分の関係のパターンが少しずつ分かってくることがあります。
人間関係の悩みを、すべて愛着で説明することはできません
人との関係で不安になりやすいからといって、必ず愛着に問題があるわけではありません。
まして、人間関係で困っていることだけを理由に「愛着障害」と判断することもできません。
現在の相手との関係そのものに問題があることもあります。
仕事や家庭などで大きなストレスを抱えていれば、普段より人の反応に敏感になることもあります。
その人自身の気質や価値観、これまでのさまざまな対人経験、過去の傷つきやトラウマなどが影響していることもあります。
だからこそ、
「私は不安型だから」
「回避型だから人とうまくいかない」
と自分を型にはめるよりも、実際の関係の中で、自分に何が起きているのかを見ることが大切です。
自分の「関係のパターン」を知ることから
人との関わり方は、すぐに変えられるものばかりではありません。
「相手に合わせすぎないようにしよう」
「不安になっても確認しないようにしよう」
「もっと人を頼ろう」
と頭では分かっていても、実際の人間関係になると、いつもの反応が出てくることがあります。
そんなときには、反応をなくそうとする前に、
どんなときに不安になるのか。
そのとき、相手の言動をどのように受け取っているのか。
自分は何を感じているのか。
相手に何を求めているのか。
本当はどうしたいのか。
を少しずつ見ていくことが役に立ちます。
たとえば、「相手に合わせてしまう」という同じ行動でも、その背景にあるものは人によって違います。
嫌われることが怖いのかもしれません。
相手をがっかりさせてはいけないと感じているのかもしれません。
自分の希望を伝えても受け止めてもらえないと思っているのかもしれません。
あるいは、自分が何を望んでいるのか、その場ではまだ分からないのかもしれません。
自分のパターンが見えてくることで、これまで無意識に繰り返してきた反応以外の選択肢を、少しずつ持てるようになることがあります。
恋愛関係と愛着について知りたい方へ
愛着に関わる反応は、特に距離が近くなる恋愛関係の中で強く現れることがあります。
「連絡がないと強く不安になる」
「相手の気持ちを何度も確認したくなる」
「親しくなるほど距離を取りたくなる」
など、恋愛関係で繰り返すパターンについては、愛着スタイルも含めて別の記事で詳しく解説しています。
→「愛着障害と恋愛|うまくいかない恋愛を克服するためのヒント」を読む
カウンセリングで一緒に見ていけること
人との関係で繰り返していることには、自分ひとりでは気づきにくいこともあります。
カウンセリングでは、実際に起きた出来事を振り返りながら、
「そのとき、相手の言動をどう受け取ったのか」
「どんな気持ちや身体の反応があったのか」
「本当はどうしてほしかったのか」
「自分はどうしたかったのか」
などを一緒に整理していきます。
目指すのは、「不安にならない人になる」「人を避けない人になる」といったことではありません。
自分に起きていることを理解しながら、自分の気持ちも相手との関係も大切にできる関わり方を、少しずつ増やしていくことを目指します。