「過食や拒食をくり返すのは私だけ?」──食べるのがつらい理由と回復へのヒント

「今日はちゃんとごはんを食べよう」と思ったのに、気づけばお菓子やパンばかり食べていて、 お腹はいっぱいなのに、心はずっと満たされない。

「またやってしまった」と食べたあとに押し寄せてくる罪悪感と自己嫌悪。でも、どうしてこんなふうになるのかわからず、ただつらくなる。

ちゃんと食べようとカロリーを計算しようとしたけど、どうしても納得いかなくて食べられない。「食べたいのに太るのが怖い」そんな気持ちで混乱して、うまくいかないことで自分を責めてしまう。

「本当にこれを食べていいの? 太らない?」そんな思いが頭の中でぐるぐる回って、結局、何を食べたらいいのかわからなくなる。

食べることが、こんなに難しいなんて──きっと以前は想像もしなかったことなのではないでしょうか。

ちゃんと食べたい、過食を止めたい、普通の食べ方に戻りたいと思っているのに、気がついたらまたくり返してしまう…。 「どうして私はうまく食べられないんだろう」 「ちゃんとしたいのに、できない自分が情けない」 そんなふうに、自分を責めてしまう日々が続いていませんか?

この記事では、「摂食障害かもしれない」「過食や拒食が止まらない」「食べることが苦しいのは自分だけ?」と悩んでいる方へ向けて、食の問題の背景にある心のメッセージにやさしく触れながら、回復に向かうための視点とヒントをお伝えします。

この記事を書いた人

上畠 真紀
公認心理師、精神保健福祉士

経験
18年以上のカウンセリング経験(精神科・心療内科)
専門分野
摂食障害、気分障害、トラウマ、対人関係

「どうしてうまく食べられないのか、自分でもわからない」

止めたいのに止められない私がいる

最初は「ちょっとだけ」のつもりだった。でも、ひとくち食べたら止まらなくなって、次から次へとお菓子やパンに手が伸びてしまう。

「やめよう」と思っているのに…、お腹は苦しいのに…、体が勝手に動いている感じで止まらない。

食べているあいだは、何も考えていない。もしかすると「考えないようにしている」感覚に近いかもしれません。

頭の中はぼんやりしていて、「感じること」や「今の自分に意識を向けること」から、とにかく逃げたくて、口に運び、飲み込むことだけに集中している。

あとから我に返って、「どうしてこんなことをしたんだろう」と、後悔や自己嫌悪や罪悪感…。

「またやってしまった」
「なんで私はこんななんだろう」
そう思ってベッドにうずくまった夜もあったかもしれません。

止めたい気持ちはあるのに、どうしても止められない。
「わかっているのに、やめられない自分」が本当に嫌になってしまう。
でも、それだけ苦しい何かを、あなたは心の中に抱えてきたということかもしれません。

「食べたくないわけじゃないのに、怖くて食べられない」

過食のあと、「明日からはちゃんと食べよう」と思う。
食べることをコントロールしたいから、健康的な食事を考えて、カロリーを計算して、メニューも用意してみる。

あるいは、痩せすぎてしまった身体を戻さなきゃいけないとわかっていて、「ちゃんと食べなきゃ」と思っているのかもしれません。

でも、いざ食べようとすると頭の中に声がよぎる。

「これ、本当に食べていいの?」
「こんなに食べたら太っちゃうんじゃない?」
「もっと軽く済ませた方がいいんじゃない?」

気づけば、手が止まっている。
食べたい気持ちもあるのに、同時に“怖い”という気持ちが強くなってしまう。

そんなふうに、“食べたいのに食べられない”という矛盾の中で、混乱したり、自分を責めてしまったりすることがあるかもしれません。

「食べること」が、こんなにも怖いものになってしまっている自分に、驚いたり、悲しくなったり、あるいは、なぜこんなふうになったのかすら、もうわからないこともあるでしょう。

うまく食べられないのは、あなたのせいではありません

過食や拒食(食事制限)は「心のSOS」のあらわれ

人は、頑張りすぎているとき、自分でも気づかないうちに感情を押し込めたり、無理を重ねてしまうことがあります。

特に感受性が強い方ほど、傷つきや寂しさにフタをして、「大丈夫なふり」「明るいふり」をしてしまいがちです。
でも、抑えた感情は消えてなくなるわけではなく、見えないかたちで、心や行動に影響を及ぼします。

そのひとつの表れ方が、「食べる」こと。

たとえば──

  • つらいことにフタをするために食べる
     → 食べているあいだは考えなくてすむ「麻酔」のような役割
  • 空虚感や不安を紛らわせるために食べる
     → ぽっかり空いた心の穴を埋めるように食べ続けてしまう
  • 頑張りすぎの反動として過食する
     → 日中がんばりすぎた分、夜ひとりになると崩れてしまう
  • 愛されたい気持ちの代わりとして食べる
     → 本当は人とのつながりが欲しいけれど、それが難しくて食べることで安心しようとする
  • 罪悪感から自分を罰するように食べてしまう
     → 「どうせ私はダメだから」と思ってしまうと、止まらなくなる

一方、拒食や食事を制限することもまた、心のバランスを取るための方法のひとつになっている場合があります。

  • 自分がわからなくなって、痩せることで存在価値を感じようとする
  • 「せめて体だけはコントロールしたい」という思いから制限する
  • 「ちゃんとしていないと見捨てられる」そんな不安から、“食べない”ことを頑張ってしまう

これらはすべて、あなたのこころとからだが、必死にバランスを取ろうとしてきた証です。
過食も、拒食(食事制限)も、甘えではありません。
どちらも、「今のままではつらすぎる」という心のSOSのあらわれなのです。

責めるより、気づくことから始めていい

うまくいかないたびに、「私はダメだ」と思っていませんか?
でも、うまくいかないと感じることは、それだけ何とかしようとあなたが頑張ってきたということでもあります。
あなたは決して、弱いわけでも、自分に甘いわけでもありません。

例えば──
あなたが学校や職場でいじめられていて、「行かなきゃ」と思っているのに、どうしても行けないとします。

それは、“行かない”ことで、自分を守っている状態。
そんなとき、どんな言葉をかけてもらえたら、心が少し楽になりそうでしょうか?

逆に、あなたの大切な友達がいじめられて行けなくなっていたとしたら、あなたはどんな声をかけてあげますか?

「学校に行った方がいいよ」?

「行かなきゃダメだよ」?

「学校なんか行かなくていいよ」?

「行けないのは、何かあったの?」?

──この「行けない」を、「過食してしまう」や「食べられない」に置きかえて考えてみてください。

「うまく食べられない私」を責めるよりも、「どうしてそうなっているんだろう?」とやさしく見つめ直してみること。それが、回復への一歩になるのです。

「こんなことで悩んでいるのは私だけ」じゃない

見えにくいだけで、同じような人はたくさんいる

SNSや学校、職場などでは、みんな“ふつう”に見える。
ちゃんとご飯を食べて、元気に過ごしているように見える。
だからこそ、「こんなことで悩んでるのなんて自分くらいだ」と感じてしまうかもしれません。

でも、本当は、あなたも「ふつうのふり」「問題ないふり」をして、必死に頑張ってきたのではないでしょうか?

笑顔で過ごしながら、心の中では不安や孤独を抱えていたり、「こんな自分じゃだめだ」と思いながら、誰にも言えなかったり。
そんなふうに、自分の苦しさを隠して日々をやり過ごしている人は、実はとても多いのです。

カウンセリングでは、

  • 「誰にも言えなかったことを、初めて話した」
  • 「自分と同じような気持ちの人が他にもいると知って、ほっとした」

そんな声を何度も聞いてきました。

見えにくいだけで、似たような気持ちを抱えながら、静かに助けを求めている人はたくさんいるのです。

話すことが「楽になる」きっかけになる

話すことで、過食がすぐに消えるわけでないですし、すぐに普通に食べられるようになるわけではありません。
でも、「このままじゃいけない」とひとりで悩んでいた苦しさが、少しだけ和らぐことがあります。

「ちゃんと話せないかもしれない」
「泣いてしまうかもしれない」

それでもいいんです。
むしろ、そのままでいていい場所があることを、知ってもらえたらと思います。

“治そう”とするより、“わかってあげる”ことから

自分の中にある葛藤や不安を、まず知る

言葉にしていくことで、過食や食へのこだわりは、「消すべき症状」ではなく、自分を守ってくれていたものだったと気づくことがあります。

例えば──

  • 食べることで寂しさや不安をまぎらわせていた
  • 痩せていることで人から認められると感じていた
  • 食べることをコントロールすることで、他の不安を押さえ込んでいた

こうした気持ちに気づき、他の方法で安心や自信を感じられるようになると、少しずつ「過食や制限に頼らなくても大丈夫」という感覚が生まれてきます。

時間はかかっても、回復の道はちゃんとある

「こんな状態が何年も続いてる」
「私なんかもう手遅れかもしれない」

そんなふうに思ってしまう方もいるかもしれません。

でも実際には、長い間、過食や拒食に悩みながらも、少しずつ回復の道を歩んでいる人がたくさんいます。

最初から完璧にできなくていい。
焦らなくても大丈夫です。

大きな一歩じゃなくても、かすかな変化や、「変わりたい」と思う気持ちを大切にすることから、回復は始まっていきます。

あなたにも、ちゃんと回復への道はあります。
それは、あなたのペースで、あなたらしく進んでいける道です。

あなたの苦しさには、ちゃんと理由がある

「相談してもいいのかな」と迷っているあなたへ

過食や食べたいのに食べられないという悩みは、相談のタイミングがわかりにくいものです。

・病院に行くほどではない気がする
・人に話すほどのことじゃないかもしれない
・でも、正直しんどい

そんなふうに思っているなら、それはもう相談していい状態です。

「話してみようかな」と思ったら、その気持ちを大切に

うまく話せなくても、涙が出てしまっても大丈夫です。
リューココリーネ・メンタルケア東京では、あなたのペースを何よりも大切にします。

あなたが少しずつでも、「食べることがつらくない毎日」へと近づけるように。
その一歩を、ここから一緒に見つけていけたらと思っています。

最後に

食べることに苦しんでいるあなたへ。
誰にも言えなかった気持ちに、やさしく光を当てていくことで、
きっとあなたの中に、「大丈夫」と思える瞬間が少しずつ増えていきます。

自分を責めすぎずに過ごせる日々を。
あなたがあなたらしくいられる時間を。
ここから、一緒に目指していきましょう。

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