「あの人はあんなに進んでいるのに、私はまだここにいる」 「もっと頑張らなきゃいけないのに、動けない」
新しいことに向かおうとするとき、つい「世間一般の基準」や「元気だった頃の自分」を物差しにして、今の自分を責めてしまうことはありませんか?
特に心のエネルギーが不足しているときは、大きな目標を掲げること自体が、かえってあなたを動けなくさせる原因になることがあります。今回は、無理なく一歩を踏み出すために大切な「自分の枠」でやりきる考え方についてお話しします。
「自分の枠」は、あなたを守る安全地帯
「自分の枠」とは、今のあなたが無理なく、かつ「これならできそう」と思える範囲のことです。
- 枠の外(無理なこと): 「毎日欠かさず誰かと会う」「完璧に家事をこなす」
- 今の自分の枠(できること): 「今日は窓を開けて空気を入れ替える」「1回だけメールの返信をする」
大切なのは、枠の「大きさ」ではありません。その枠を「自分で決めて、やりきった」という感覚そのものです。
大きな変化を意識しすぎると足がすくんでしまいます。
世間の基準ではなく、今日のあなたが無理なくできる範囲が今のあなたの「正解」です。
「これならできそう」と自分で決めた範囲をやりきる感覚は、傷ついた自己肯定感を少しずつ再生させ、次のステップへのエネルギーになります。
心理学の視点:心の「耐性領域」を知る
人の神経系には、無理なく刺激を処理できる「耐性領域」という幅があります。これは、いわば「心の守備範囲」のようなものです。トラウマや疲れがあるときは、この幅が一時的に狭くなっています。
狭い時に無理をすると、パニック(過覚醒)になったり、逆に無気力(低覚醒)になったりします。今の自分の「枠」で過ごすことは、神経系を健やかに保ち、少しずつその幅を広げていくための大切なリハビリなのです。

実践:自分に優しい「枠」の作り方
今日から、以下のステップで「自分の枠」を定めてみましょう。
「0.1歩」の幅で決める
「これくらいできて当たり前」という基準を捨てて、「今の私なら確実にできる」ところまでハードルを下げます。
「やらないこと」も枠に含める
「今日はこれ以上はやらない」と決めることも、自分を大切に守るための立派な枠の作り方です。
枠を使い分ける
エネルギーがある日の枠、全くない日の枠。日によって枠の形が変わってもいいのです。「今日の自分にちょうどいいサイズ」を選ぶ感度を磨いていきましょう。

大切なこと:枠の大きさは「日替わり」でいい
ここで一つ、心に留めておいてほしいことがあります。
「昨日はできたことが、今日はできない」という日があっても、全く構わないということです。
私たちの心のエネルギーは、天気と同じでコントロールできません。雨の日に無理に外へ出られないように、心の予報が「雨」の日は、枠をグッと小さくしていいのです。
- 晴れの日用の枠: 「調べものを15分進める」
- 雨の日用の枠: 「温かい飲み物を飲んで、今日は何もしないと決める」
どんなに小さな枠であっても、その日の自分に合わせて選んだのであれば、それは立派な「やりきり」です。

「昨日の自分」をライバルにしない
昨日の自分と比べて「今日はダメだ」とジャッジする気持ちに気づいて、手放していきましょう。今日のあなたのライバルは、過去のあなたではありません。
低いエネルギーの中で、今できる精一杯の「枠」を守り、一日を生き抜いた。それ自体が、何物にも代えがたい前進です。
「今日のあなたの心は、どんなお天気ですか? そのお天気に合わせた『今日の枠』は、どんな形にしましょうか?」
無理に晴れさせようとしなくて大丈夫。今のあなたのままで、今日という日を「今の枠」で、ゆっくりと過ごしてみませんか。

【よくある質問】人と比べて落ち込んでしまう時
Q:SNSを見ると、自分より大変そうな状況でも頑張っている人がいて、自分の「枠」が甘えに感じてしまいます。
A:SNSに見えるのは、その人の「一番良い瞬間」だけです。背景にある疲れや痛みは、画面越しには分かりません。そもそも、心の体力は指紋のように一人ひとり違います。他人の物差しで自分の枠を測る必要はありません。「私の今の正解はこれ」と、自分の感覚を信じてあげてください。

まとめ
枠の大きさは、その日の体調や心の天気によって変わって当然です 。
大切なのは、世間の基準と自分を比べるのではなく、今の自分にぴったりのサイズを大切にすること 。
「今日はこの枠をやりきった」という小さな安心感の積み重ねが、あなたの中にしなやかな自信を育て、次のステップへと進むための本物のエネルギーになってくれます 。

「8つのヒント」を順番に読んでみませんか?
新しい一歩を踏み出すための知恵は、他にもたくさんあります。今のあなたに一番しっくりくるヒントを探してみてください。
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焦らず、あなたのペースで。一歩進もうとしている自分を、まずはたっぷり労ってあげてくださいね。
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