公認心理師が語る カウンセリングが必要な人やタイミングって?

近年、心のケアの重要性が増しています。

しかし一方で、「自分はカウンセリングが必要な状態なのか?」「こんな悩みでも相談していいのか?」と迷ったまま、一歩踏み出せない人も増えています。

悩みを相談したいという気持ち、カウンセリングを受けてみたいという気持ちがあれば、それがまさに利用するタイミングです。

カウンセリングは海外ではすでに一般的なものとなっていますが、日本では認知度は上がってきたものの、まだ浸透してるとは言えません。そのため、どんなときにカウンセリングを利用すればいいのかよくわからず、利用を躊躇している方が多いのが現状です。

この記事では、カウンセリングを受けることで得られるメリットや、利用のタイミングについて説明します。これらを理解しておくことで、こころのSOSに気がつきやすくなったり、カウンセリングをうける参考になるかもしれません。

この記事を書いた人

上畠 真紀
公認心理師、精神保健福祉士

経験
18年以上のカウンセリング経験(精神科・心療内科)
専門分野
摂食障害、気分障害、トラウマ、対人関係

目次

カウンセリングが必要な人の特徴

①一人で悩みを抱え込みがち

こんなことくらいで悩むなんてと自分に厳しい方。

相談したら迷惑なのではないかと思っている方。

悩みを相談することは弱みを見せることだと思っている方。

このような方は、他人に助けを求めるタイミングをつかむことが難しくなってしまうかもしれません。

ですが、一人の人間が考えられることには限界があります。いっぱいいっぱいになっていると感じたら、カウンセリングで言葉にすることで荷下ろしするだけでも楽になるかもしれません。

② 人間関係のストレスが大きく、日常生活に支障が出ている

家族関係、夫婦やパートナー関係などの重要な他者との関係や、職場の人間関係など日常的に接する機会が多い他者との人間関係でコミュニケーションがうまくいっていないと、心理的な負担はとても大きくなります。その状態が続くと、家事や仕事、余暇などにも支障が出て、そのことによるストレスでますます悩みが深刻化することもあります。

また、人とのコミュニケーション自体が苦手な方の場合は、人と関わることを避けてしまうことで、日常生活を送ること自体に困難を感じてしまうかもしれません。

③ 仕事や家庭での悩みが積み重なり、モチベーションが低下

昇進や転勤、新たなプロジェクトのスタートなど仕事をしていると様々な状況に立たされます。家庭でも、卒入学、結婚、出産、子育て、家族の病気などライフステージごとに様々な変化が起こります。たとえポジティブな変化であっても私たちはストレスを感じます。

こうした問題は、単独で起こることもありますが、複数が重なることも少なくありません。

一つの変化だけでもストレスを感じられるわけですが、複数絡まり合うことによりパフォーマンスやモチベーションが低下していることも。そんなときには、早めにカウンセリングを利用してもいいでしょう。

④ネガティブな思考が止まらない

自分へのダメ出しや、他人からのネガティブな評価、いつも最悪の事態を考えてしまうという方は、もともと自己肯定感が低い傾向にあります。

ネガティブな思考により行動が制限される(新しい行動や変化を体験することを避けてしまいがち)ことで、ますます自信を低下させ悪循環が生じてしまうこともあります。

カウンセリングを受けることで得られるメリット

気持ちを言葉にして、ストレスを軽減できる

悩みを抱える状態とは、何かストレスとなるような出来事が起こった時に、そのことに対してうまく対処できない、どう対処していいかわからないという状態です。

この時にうまく気持ちの整理ができないと不安が強まり、ますますストレスを強めてしまいます。

まず大切なことは、出来事や状況に対する考えや感情を「言葉にすること」です。

誰かに話しただけで、一人では気づかなかったことに気づいたという経験があるかたもいらっしゃると思います。誰かに話をするということは、相手に伝わるように言葉を選んだり、時系列で説明しようと自分自身と向き合い、言語化するということです。

色々な出来事が積み重なることにより、絡まり合った様々な気持ちを専門家と一緒に整理することで、気持ちが楽になったりすっきりすることがあります。また気持ちを共有することで「わかってもらえた」「自分の感じ方は間違っていなかった」という安心感にもつながります。

客観的に自分を見つめ直せる

誰かに話しただけで、一人では気づかなかったことに気づいたという経験があるかたもいらっしゃるでしょう。誰かに話をするということは、相手に伝わるように言葉を選んだり、時系列で説明しようと自分自身と向き合い、言語化するということです。

色々な出来事が積み重なることにより絡まり合った様々な気持ちを専門家と一緒に整理することで、出来事や自分自身についての客観視が進み気持ちに余裕が持てるようになります。

さらに専門家によるフィードバックやアドバイスで、自分の考え方や行動のパターンや思いがけない強みに気づくこともあります。

悩みを解決するヒントが得られる

悩みを解決するためには、自分がどのような結果を期待しているのかを理解できていることがとても大切です。その「期待」に、悩みを解決するヒントが隠れているとも言えます。

けれども、それが理解できても、環境や人間関係の問題、ご自身の考え方や行動パターンなどによってなかなか思うように進まないこともあるでしょう。

 そのようなときは、カウンセラーと共に自分の期待していることを理解し、どのような働きかけができそうかなどを検討するプロセスを専門家のアドバイスを参考にしながら歩むことで、解決へのヒントを得られます。

人は行動パターンを変えたり、新しいことに挑戦する時は不安を感じるものです。そんな時に、自分の状況や気持ちを共有し理解しているカウンセラーと一緒に取り組むことは心強く安心感にもつながります。

自分に合ったストレス対処法を見つけられる

カウンセリングで悩みや自分自身と向き合った体験によって自己理解が深まり、その経験からストレスや悩みごとへの向き合い方(捉え方や対処法)を身につけることができます。

特にもともと一人で抱え込みがちな方にとっては、助けを求めることができたことや他者と一緒に問題に取り組んだということも一つの自信(自分を信じる力)につながります。

自分に合ったストレス対処法や悩みとの向き合い方が身につくと同時に、自分を信じる力が育つことも再発防止につながると言えます。

カウンセリングを受けるべきタイミング

以下のような状況があれば、一度カウンセリングを受けることを検討してみてもいいかもしれません。

悩みが長期間続き、解決の糸口が見えないとき

自分なりに解決しようと試みることは大切なことです。それでも、解決できない状況が続くと、次第にうまく対処できない自分を責めるようになることもあります。

ストレスのかかる状態が続くと、悩みに向き合うだけのエネルギーが消耗されて身動きが取れないと感じてしまうこともあるでしょう。

日常生活に支障をきたしていると感じたとき

気分の落ち込みや悩みごと・心配事が頭から離れない。わけもなく涙が出てしまったりイライラする。何となく不安な気持ちが消えない…。

このような状態が続くと、仕事や家事や趣味や悩みと関係のない対人関係にも支障が出ることは少なくありません。

家族や友人に相談しても解決しない場合

相談できる家族や友人がいるということはそれだけで心の余裕につながります。

ただ、話を聞いてもらって楽になっても、問題の解決に至らないということも少なくないと思います。

そんな時は、その悩みやストレスとなっている状況が自分自身と向き合う機会ということなのかもしれません。

過食や不眠など、身体的な症状が現れたとき

過食や不眠以外にも、頭痛、めまい、下痢、アトピー性皮膚炎など様々な身体症状がストレスにより生じることがあります。

言語化されなかったり、意識に上げられなかった気持ちが、身体的な症状となって現れる場合があるのです。

このような症状が現れた時は、まず医療機関に相談することを優先しましょう。

身体的な疾患が見つかれば、そちらの治療を優先することが必要な場合もあります。

また、「ストレスによるものだろう」と放置していると、その症状によるストレスの影響でさらに不調を引き起こし、医療的な介入が必要な状態も考えられます。

医療との並行が必要か、カウンセリングのみで対応となるかの判断は以下の図を参考にしてください。

例えば、適応障害は薬物療法が必要な場合もありますが、正常なストレス反応との違いは分かりにくいものです。

まずは医療的な介入の必要性を判断したうえで、必要であれば治療と並行しながらカウンセリングを行うことが大切です。

ただ、中には医療機関に相談することのハードルが高い方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、カウンセラーと医療機関を受診することについての様々な気持ちも含めて整理していくのもいいかもしれません。

カウンセリングを受けた人のリアルな体験談 – 変化と気づき

①過食に悩んでいた20代女性のケース

  • ダイエットとリバウンドを繰り返し、自分を責めていた
  • カウンセリングで自分のこころとからだの声に耳を傾けられるよう
  • 「空腹感を感じること、食事を摂れることの喜び」

②人間関係が怖くなってしまった30代女性のケース

  • 仕事やパートナーとの関係に悩む日々
  • 誰かにすべてを話せたことで心が軽くなった
  • 「自分の気持ちに興味を持つ視点」が、自分を支える大きな力に

まとめ

カウンセリングは心の健康を保つためにも、何らかの病気から回復する時にも有効な手段です。現代はインターネットの進展と普及により便利となった一方で、情報の過多とスピードにより私たちの「こころ」と向き合うことが難しくなっていると言えます。

これからの時代は、普段から意識して自分の心と身体をケアする意識を持つことが求められるでしょう。

そして「カウンセリングが必要かもしれない」と思ったら気軽に相談してみることも一つの選択肢。自分に合ったカウンセラーを見つけることで、より効果的なサポートを受けることができます。

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