過食後の後悔がつらいあなたへ。過食がやめられない理由と、後悔から抜け出すための3つの視点

「また過食してしまった…」
「どうして私はこんなに弱いんだろう」

そうやって何度も後悔しながら、それでもやめられない——。
頭では「もうやめたい」と思っているのに、つい同じことを繰り返してしまう。
そのたびに自己嫌悪が強まり、「こんな自分なんて」と自分を責めてしまう。

けれど、そんなあなたは決して意志が弱いのでも、甘えているのでもありません。
むしろ、心が限界を迎えているからこそ、過食という形で訴えているのです。

今回は、この「過食と後悔のループ」から少しずつ抜け出すための視点を、3つに分けてお伝えします。

この記事を書いた人

上畠 真紀
公認心理師、精神保健福祉士

経験
18年以上のカウンセリング経験(精神科・心療内科)
専門分野
摂食障害、気分障害、トラウマ、対人関係

目次

視点①:「過食=悪いこと」と決めつけなくていい

過食は“ダメな行動”ではなく、今のあなたにとって必要な行動なのかも

多くの人が、「過食してしまう自分は甘えている」「意志が足りない」と自分を責めてしまいがちです。けれど実際には、過食には**心を守るための“役割”**があります。

たとえば、
・ものすごく孤独を感じていたとき。
・言いたいことを我慢しすぎていたとき。
・思い通りにならない現実にぐっと耐えていたとき。
・先の見通しがつかず、不安でたまらないとき。
・誰かと比べて、自分にダメ出しをし続けていたとき。

過食は、こうした感情の揺れやストレスに押しつぶされそうなときに、なんとか自分を保とうとする**「応急処置」**のようなものなのです。

食べることで、一時的に安心や心が満たされる感覚を得ていたのかもしれません。
食べることで、ほんの少しのあいだだけでも、「こうしなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」といったルールや、自分を責める声から離れられたのかもしれません。

「自分を守ろうとしたんだね」と見てあげる

過食したあと、冷静になった自分から見れば、「どうしてまた…」と後悔や自己嫌悪の気持ちになるのも無理はありません。
けれど、それは、そのときのあなたにとっての、精一杯の“自分への優しさ”だったのかもしれません。

つらい気持ちをそのまま抱えるには苦しすぎて…
でも、誰にも言うことはできなくて…

それでも日々をなんとかやり過ごそうとしていたあなたが、選んだひとつの方法だったのかもしれません。

だからこそ、まずはこう言ってあげてほしいのです。

「私は私を守ろうとしていたんだね」
「それほどつらかったんだよね」と。

自分を責めるのではなく、自分の行動の“奥にある気持ち”を認めること
そこから、少しずつ回復の道は始まります。

視点②:後悔や自己嫌悪も、あなたの大切な感情

後悔は「本当はこうありたい」という気持ちのあらわれ

過食のあとに湧いてくる後悔や罪悪感は、あなたの心が「苦しいよ」と伝えてくれているサインです。
それは、「本当はこうありたい」という気持ちがあるからこそ出てくる感情でもあります。

  • もっと自分を大切にしたかった
  • もう繰り返したくないと思っていた
  • 自分を責めずにいたかった

そうした「願い」があるからこそ、うまくいかなかったときに罪悪感や自己嫌悪が湧いてくるのです。

でも、その「こうありたい」が、いつの間にか**「こうあるべき」や「こうじゃなきゃダメ」**という厳しいルールに変わってしまうと、後悔や罪悪感に心が押しつぶされそうになります。

振り返ることで、その感情の奥にある背景が見えてくる

後悔や罪悪感に気づいたら、少し立ち止まって自分に問いかけてみてください。

  • 何か、心が疲れるような出来事がなかったかな?
  • 過食する前、どんな気持ちを抱えていた?
  • 食べることで、何から自分を守れたような気がする?

そうやって自分の感情に目を向けてみると、「なぜ過食が起きたのか」が少しずつ見えてくるようになります。
そしてそれは、自分を理解するための大切な手がかりになります。

「何を感じていたの?」とやさしく思いをはせてみる

「なんでこんなに食べたの?」「どうしてまた…?」
そんなふうに問いかけるとき、つい自分を責めたり、批判的なニュアンスが入りやすくなります。
でも本当に必要なのは、責めることではなく、そのときの自分が“何を感じていたのか”を知ってあげること。
問いかけるときのポイントは、過食に頼ることになった自分を責めるのではなく、「どんな気持ちがあったのかな?」と、そっと寄り添うように聞くことです。
たとえば、

  • 不安だったのかな?
  • 寂しかったのかな?
  • もうがんばれないよって苦しい気持ちだったのかもしれないね

そんなふうに、自分の気持ちに耳を傾ける時間が、責める心を癒し、自分への理解とやさしさへとつながっていきます。

視点③:食べることではなく“感情”にアプローチする

なぜ“急に”過食してしまうの?スイッチが入る瞬間の背景とは

「さっきまで大丈夫だったのに、急にスイッチが入ってしまった」
そう感じること、ありませんか?
実は、その“急に”にはちゃんと理由があります。
私たちの心は、ちょっとした引き金(トリガー)によって反応します。

たとえば、
・仕事で小さな失敗をしたとき
・SNSで他人と自分を比べてしまったとき
・誰にもわかってもらえないと感じたとき

それ自体は些細なことに思えるかもしれません。
でも、日々積み重なってきたストレスや疲れ、抑え込んできた感情が、そうした小さなきっかけによってあふれ出してしまうことがあるのです。
過食のスイッチが入る瞬間は、「こころの限界点」かもしれません。
自分を責める前に、「今、私は何に耐えてきたのかな?」と立ち止まることができたら、それはとても大切な気づきになります。

過食スイッチについてはこちらの記事を参考にしてください。

感情を無視すると、過食は繰り返される

過食を止めたいと思ったとき、「もう二度とやらない」「今度こそ我慢しよう」と強く決意する人は少なくありません。
けれど、強い決意や我慢だけでは、一時的な効果にとどまりがちです。
むしろ、抑え込んだぶんだけ反動が大きくなり、再び衝動的に食べてしまう…という悪循環に陥ることも少なくありません。

なぜなら、食べたい気持ちは、心の中でずっと気づかれたがっている“感情の声”でもあるからです。
その声を無視している限り、過食衝動は何度でも、時には別の形で繰り返されてしまいます。

感情の扱い方を少しずつ練習する

大切なのは、過食という行動そのものを責めたり止めたりすることではありません。
「その前に、自分はどんな気持ちだったのか」「何を本当は求めていたのか」
そこに目を向けることが、本当の意味での回復への一歩になります。

  • 「寂しい」と感じていたのかもしれません
  • 「不安」でいっぱいだったのかもしれません
  • 「ひとりになりたい」という気持ちを抱えていたのかもしれません
  • 「わかってほしい」と強く願っていたのかもしれません

自分の中にある感情に少しずつ気づいていくことで、
「どうしてあんなに食べたくなったのか」
「本当は何が苦しかったのか」が見えてきます。

そしてその先に、「食べる」以外の方法で自分の気持ちに寄り添う選択肢が、少しずつ持てるようになっていきます。

今日からできる小さな感情ケアの例

感情に対処する練習は、ほんの少しのことから始められます。

  • ノートに今の気持ちを書いてみる
    誰かに自分の気持ちをわかってもらえただけで、ほっとしたり、癒された経験はありませんか?
    それと同じように、自分で自分の気持ちを言葉にするだけでも、十分なセルフケアになります。
    「うまく書けない」と思っても大丈夫。
    まとまっていなくても、箇条書きでもいいんです。
    “今”感じていることを、そのまま書いてみてください。

  • 好きな音楽を聞いて、気分を感じる
    今この瞬間に聴きたい曲が、昨日と違うことってありますよね。
    それは、あなたの気分がその時々で変化している証拠。
    だからこそ、「今日はどんな曲が聴きたいかな?」と自分に問いかけてみてください。
    その音楽と一緒に、今の気分を味わってみることも、立派な感情ケアになります。

  • 「今、悲しいんだね」と自分に声をかけてみる
    自分の気持ちや感情に気づいたら、少しの間何もせず「寂しいね」「悔しいね」とただ声をかけてみる。
    最初は気恥ずかしかったり、ばかばかしく感じるかもしれません。でも、自分の感情を否定せずにそのまま認めてあげる習慣は、自己否定をやわらげていく力になります。

  • 安心する香りやお茶で、落ち着く時間を持つ
    言葉がいらないときもあります。ただ、自分が心地いいと感じる香りをかいだり、お気に入りのお茶をゆっくり飲んでみたり、好きな空間に身を置いて、五感で“安心”を感じてみてください。
    はじめのうちは、逆に落ち着かなく感じることもあるかもしれません。
    特に、過食したい気持ちが強いときは、じっとしていること自体がつらいこともあります。
    だからこそ、普段から“安心する時間”を少しずつ増やしておくことが、いざというときのケアに役立つのです。

こうした“小さな感情ケア”の積み重ねが、**「自分の気持ちに寄り添う力」**を育てていきます。
焦らず、できるときにできるだけでいいんです。
あなたがあなたの味方でいられるように、少しずつ“感情とのつきあい方”を身につけていきましょう。

回復のはじまりは、こんな気持ちから

「もうやめたい」「このままじゃいけない」
そう思ったとき、あなたの中ではすでに回復のプロセスが始まっています。

「どうにかしたい」と思えるのは、あなたが自分のこころに関心を持ち始めた証。

たとえ今はやめられなくても、繰り返していても、その気持ちは確実に“回復の方向”を向いています。

どんなに小さくても、「自分を大事にしたい」という気持ちは、あなたの中にちゃんと生きているのです。

最後に:どうかひとりで抱えずに…

過食の苦しみや、繰り返してしまうことへの後悔。
それを一人で抱え続けるのは、とてもつらいことです。

どんなにがんばっても抜け出せないように感じたり、
「こんなこと誰にも言えない」と思ってしまったり。
そうして心の中でひとりきりになってしまうと、ますます苦しさが深まってしまいます。

本当にしんどいときこそ、**「助けを求める力」**が必要です。
でも、これまでずっと一人でがんばってきたあなたにとって、誰かに頼ること、助けを求めることは、少し怖く感じられるかもしれません。
それは自然なことです。無理にがんばらなくて大丈夫です。

助けを求める力は、回復の中で少しずつ育てていけるもの。
はじめからうまく頼れなくても大丈夫。
小さなことでも、言葉にならなくても、誰かと気持ちを分かち合おうとするだけで、それはもう回復の一歩です。
あなたのペースで、一歩ずつでいいのです。

もし「そろそろ話をしてみようかな」と思えたときは、どうか、リューココリーネ・メンタルケア東京のことを思い出してください。

ひとりで抱えなくてもいいんです。
あなたがあなたのままでいられる場所が、ここにあります。

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