「やりたい気持ちはあるけれど、怖くてたまらない」 「不安で胸がザワザワして、やっぱりやめておこうかなと思ってしまう」
新しい一歩を踏み出そうとするとき、そんな強い不安に襲われることはありませんか? 特にトラウマや心の傷を抱えている方にとって、「怖い」と感じるのは、過去にあなたが経験した痛みから「もう二度と傷つかないように」と心が全力であなたを守ろうとしているサインでもあります。
今回は、そんな不安や恐れを無理に消そうとせず、優しく受け入れながら進むための考え方をお話しします。
不安は、あなたを守ろうとしている「用心棒」
私たちは不安を感じると、「こんなに怖がる自分は弱い」「不安さえなければ動けるのに」と、不安を「邪魔な敵」のように扱ってしまいがちです。
でも、心理学的な視点で見ると、不安はあなたを傷つけようとしているのではなく、むしろあなたを守ろうとしている「用心棒」のような存在です。 「また傷つくかもしれないよ!」「危ないから行かないで!」と、必死に警告してくれているのです。
脳科学の視点:脳の警報器「扁桃体」
不安を感じるとき、脳の奥にある「扁桃体」という部分が、火災報知器のようにアラートを鳴らしています。これは生存本能であり、あなたの意思で止めることはできません。
大切なのは、鳴り響くアラート(不安)を消そうと焦るのではなく、「今、脳がしっかり守ってくれているんだな」と客観的に認識すること。そうすることで、脳は「安全だ」と判断し、次第にアラートの音量を下げてくれます。
不安を消そうと戦うのは、あなたを守ろうとしてくれている自分自身と戦うようなもの。まずは、その不安を敵視するのをやめてみませんか。

実践:不安を「受け入れる」ための3ステップ
不安を抱えたまま少しだけ楽になるために、以下のステップを試してみてください。
① 不安に名前をつけて、認めてあげる
不安を正体不明のモヤモヤにしておくと、恐怖はどんどん膨らみます。 「あ、今、用心棒くんが『危ないよ』って騒いでいるな」と、一歩引いて眺めてみましょう。
「怖いんだね、教えてくれてありがとう」と心の中で声をかけるだけで、不安のトゲが少し丸くなります。「消そう」とするのではなく「気づいてあげる」ことが、心の波を鎮める一番の近道です。
② 「怖い」と「やりたい」の両方を持っていい
「怖くなくなったらやろう」と思っていると、いつまでも動けません。不安は、新しいことに挑戦している限り、完全になくなることはないからです。
「怖い」という気持ちと、「それでもやってみたい」という気持ちは、同時に持っていてもいいのです。 「怖いけれど、一歩だけ試してみる」──そんな、矛盾を抱えたままの自分を許してあげてください。
「怖がりながら進む」のは、臆病なのではなく、本当の「勇気」がある証拠です。
③ 過去の痛みと、今の自分を切り離す
トラウマがある場合、今の挑戦が過去の辛い経験と重なって見えることがあります。脳が「またあんなことが起きるぞ!」と誤作動を起こしている状態です。
「あの時は怖かったけれど、今の私はあの時より少しだけ知恵がある。助けてくれる人もいる」と、今の自分の力を信じてあげましょう。
今のあなたには、自分を守るための新しい方法(バリアの張り方や、課題の分離など)が備わっていることに目を向けてあげることは、少しずつ「確かな自分への信頼(自信)」につながります。
「小さな安心」を隣に置く
不安を抱えたまま進むときは、あなたにとっての「お守り」になるものを持ち歩くイメージを持ちましょう。
例えば
・好きな香りを嗅ぐ
・信頼できる人の言葉を思い出す
・帰ってきたらこれをしよう、という楽しみを決めておく
「不安はあるけれど、安全も確保されている」という感覚が、一歩を踏み出す勇気を支えてくれます。
「その不安は、あなたのどんな大切な部分を守ろうとしてくれているのでしょうか?」
不安の正体が「自分を大切にしたいという願い」だと気づいたとき、その怖さは、あなたを支える力強い味方に変わっていくかもしれません。

【よくある質問】不安に飲み込まれそうな時は?
Q:用心棒くんに声をかけても、不安が強すぎてパニックになりそうな時はどうすればいいですか?
A:そんな時は、頭で考えるのを一度お休みして、体に意識を向けてみましょう(グラウンディング)。冷たい水で手を洗ったり、足の裏が地面についている感覚を確かめたり、ゆっくりと5秒かけて息を吐き出してみてください。体が「今は安全だよ」と感じることで、用心棒くんも少しずつ落ち着いてくれます。
※グラウンディングについては、こちらの記事で詳しく説明しています。

Q:不安を感じること自体が「やっぱり私はまだダメなんだ」と自己否定に繋がってしまいます。
A:不安を感じるのは、あなたの感受性が豊かで、自分を大切にしようとする力が強いからです。不安は「ダメな証拠」ではなく、あなたの「センサーが正常に働いている証拠」。センサーが反応するたびに、「今日も自分を守ってくれてるんだね」と労ってあげてくださいね。

まとめ
不安を消す必要はありません。「怖い」という感情を持ったまま、震えながらでも一歩を踏み出す。その姿こそが、本当の「勇気」です。
あなたの用心棒である不安に「守ってくれてありがとう」と伝えながら、ゆっくりと、あなたのペースで進んでいきましょう。

「8つのヒント」を順番に読んでみませんか?
新しい一歩を踏み出すための知恵は、他にもたくさんあります。今のあなたに一番しっくりくるヒントを探してみてください。
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焦らず、あなたのペースで。一歩進もうとしている自分を、まずはたっぷり労ってあげてくださいね。
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