なぜ過食が止まらない?自分の感情がわからない「アレキシサイミア」と摂食障害の深い関係 ~「つらい」が言えなくて食べてしまうあなたへ。心の声を言葉にして回復するヒント

「食べすぎてしまうのは、自分の意志が弱いから」 「痩せることに執着してしまうのは、性格のせい」
そう思って、自分を責めていませんか?

実は、摂食障害の背景には、単なる食欲の問題ではなく「自分の感情をうまく認識できない・表現できない」という心の状態が深く関わっていることがあります。心理学ではこれを「アレキシサイミア(失感情症)」と呼びます。

自分の本当の気持ち(悲しい、寂しい、怒っているなど)がわからないとき、心はその「モヤモヤ」を解消するために、過食や拒食といった「食行動」を使って、感情を麻痺させたり、なだめたりしようとすることがあるのです。

この記事では、カウンセリングの現場で多くの女性と向き合ってきた専門家の視点から、アレキシサイミアと摂食障害の関係、そして、少しずつ自分の心を取り戻していくための具体的なステップを解説します。

目次

アレキシサイミア(失感情症)チェック:こんな心当たりはありませんか?

「自分の気持ちがわからない」と言っても、具体的にどういう状態を指すのかピンとこないかもしれません。まずは、以下の項目に当てはまるものがないか、今のあなた自身を振り返ってみてください。

① 自分の感情や身体感覚に気づいたり区別することが難しい
 自分が何を感じているのかよくわからない。何か不快な気持ちを感じているけど、それが不安なのか怒りなのか区別ができない。

②感情の区別がつかない
 モヤモヤして落ち着かないけれど、それが「不安」なのか「怒り」なのか、あるいは「寂しさ」なのか自分でもよくわからない。

③心よりも先に「体」に反応が出る
 ストレスを感じたとき、「イライラする」と気づく前に、胃痛、頭痛、激しい動悸、あるいは「無性に食べたい」という衝動が襲ってくる。

④言葉にするのが苦手
  気持ちを聞かれると「嫌な感じ」「普通」といった抽象的な言葉しか出てこない。または、自分の気持ちではなく「何が起きたか」という事実ばかり説明してしまう。

⑤「大したことない」が口癖
 本当は傷ついているはずなのに、「これくらいみんな我慢している」「大したことじゃない」と自分の感情をスルーしてしまう。

⑥他人の期待に応えすぎる
 自分がどうしたいかよりも、周りが何を求めているかを優先してしまい、気づいたときにはひどく疲れ果てている。

これらは、アレキシサイミア(失感情症)の傾向がある方によく見られる特徴です。決して「冷たい人間」なのではなく、心を守るために「感情のスイッチ」をオフにしている状態なのです。

なぜ「感情を消す」必要があったのか?(原因と背景)

なぜ、自分の気持ちに気づくのが難しくなってしまったのでしょうか。それは多くの場合、あなたの性格のせいではなく、これまでの環境の中で「感情を感じない方が安全だった」という背景があります。

「良い子」でいるための防衛本能

例えば、幼少期に以下のような経験をすると、心は無意識に感情を抑え込むようになります。

• 感情を出すと、周囲を困らせたり否定されたりした。
• 常に誰かの顔色を伺い、「良い子」でいることを求められた。
• 言葉にできないほどのつらい体験(トラウマ)があり、感じ続けるのが苦しすぎた。

感情を押し殺すことは、かつてのあなたにとって、その場を生き抜くための大切な「心の防衛反応」だったのです。しかし、行き場を失った感情は消えてなくなるわけではありません。心の奥底に沈殿し、やがてコントロールできない「食の衝動」として溢れ出してしまいます。

カウンセリングの現場で見える「回復のサイン」

カウンセリングを通して、摂食障害の症状が落ち着いていく方には、共通した変化が見られます。それは、食行動そのものが変わるよりも先に、「自分への言葉かけ」が変わることです。

「大したことない」の中に隠れた本音

カウンセリングの初期、多くの方は「大したことじゃないんですけど…」と前置きして話をされます。

• 「仕事で少しミスをして……でも大したことないんです」
• 「母に言われた一言が……でも私が悪いんです」

しかし、この「大したことない」の下には、震えるほどの悲しみや、激しい怒りが隠れています。
これらを一つひとつ「本当はつらかったね」と言葉にしていくことで、不思議と「食べたい衝動」が凪(なぎ)のように静まっていくのです。

今日からできる、感情を取り戻すための「3つのステップ」

アレキシサイミア(失感情症)の傾向は、トレーニングで少しずつ和らげることができます。
いきなり自分の気持ちを完璧に理解しようとしなくて大丈夫です。

Step 1:身体の「違和感」に名前をつける

感情がわからないときは、まず「体の声」を聞くことから始めます。

• 胸がザワザワする ➡ 「不安なのかな?」
• 肩に力が入っている ➡ 「緊張しているのかも」
• お腹が空いていないのに何か入れたい ➡ 「寂しいのかも」

このように、身体感覚を感情に結びつける「ラベリング」を試してみてください。

Step 2:「快・不快」の二択で判断する

複雑な感情を探すのは難しいものです。
まずはシンプルに、今の状態が「心地よい(快)」か「嫌だ(不快)」か、二択でチェックする習慣をつけましょう。

Step 3:感情を「外」に出すノート術

「ノートに気持ちを書き出そう」としても、つい「反省文」や「分析」になってしまう……。
それこそがあなたがこれまで一生懸命「頭」を使って、感情を抑えて生き抜いてきた証拠。
最初は書けなくて当たり前です。以下のコツを試してみてください。

1. 「思考」と「感情」を分ける練習

ノートを左右に分け、左側に「起きた事実」、右側に「その時、体がどう反応したか」だけを書きます。

  • 左(事実): 上司に資料のミスを指摘された。
  • 右(体の反応): 心臓がバクバクした。喉の奥がギュッとした。 「悲しい」と言葉にできなくても、「体の違和感」を書くだけで、それは立派なアウトプットになります。

2. 「オノマトペ(擬音語)」を使う

「怒り」や「悲しみ」という言葉がしっくりこない時は、擬音を使ってみましょう。

「モヤモヤする」「ムカムカする」「ズーンと重い」「チクチク痛い」 これなら、論理的な思考に邪魔されずに、今の感覚をそのまま出すことができます。

3. 「〜と思った(思考)」を「〜と感じた(感覚)」に言い換える

  • 思考: 「もっと準備すべきだったと思った」
  • 感覚: 「準備不足がバレるのが怖くて、ヒヤヒヤした」 「〜と思った」で終わっているときは、まだ頭(思考)で考えているサインです。それを「その時、心や体はどう反応したかな?」と一歩踏み込んでみます。

まとめ:食行動を責めるのをやめ、心の声に耳を傾ける

摂食障害は、あなたがこれまで「感情」という大きな波から自分を守るために必要だった、いわば「心の浮き輪」のようなものです。

無理に浮き輪を奪うのではなく、アレキシサイミア(自分の気持ちがわからない状態)を理解し、言葉という「新しい泳ぎ方」を身につけていくことで、少しずつ食行動を手放していくことができます。

ひとりで向き合うのが苦しいときは、カウンセリングという安全な場所で、一緒にあなたの「本当の声」を探してみませんか?

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