対人関係療法との出会いが
もたらした希望
私がこちらの治療や先生と出会うきっかけとなったのは、対人関係療法に関する本との出会いでした。
摂食障害を発症したのは高校三年生頃のことです。当時、さまざまな病院を訪ねましたが、専門的な知識を持った先生と出会うことができず、むしろ傷ついたり、失望してしまうことが繰り返されました。
食べ物に対する苦しさや偏った思考の負担だけでなく、大好きだった母親や家族との関係も悪化してしまい、どうすれば良いのか分からず、生きる道を見失いそうになった時期もありました。
そんな中、入院先で出会った親身な先生に救われましたが、引っ越しのためその病院を離れることになりました。その際に先生が勧めてくださったのが、対人関係療法に関する本でした。初めは内容があまり理解できなかったものの、時間が経ち再び読み返したときに深い共感を覚えました。それがきっかけで、対人関係療法が受けられるこちらに連絡を取り、カウンセリングが始まりました。
母との和解を通じた関係修復のプロセス
カウンセリングが始まった頃、私は「どうしたら過食嘔吐を治せるのか」ということばかり考えていました。そのため、思うように症状が改善しないことに苛立ちや焦りを感じることも多々ありました。
しかし、カウンセリングを通して母との関係に向き合うようになり、少しずつ関係が改善していきました。摂食障害のつらさを母に理解してもらえないと感じ、大好きだからこそ反発してしまった過去がありましたが、ぶつかり合いながらもお互いを理解し合えるようになりました。
症状を取り除く戦いから、自分と向き合う視点への転換
症状が一進一退する中、過食嘔吐がなくならないことで自己嫌悪に陥る時期もありました。そんな時、先生がこれまでのカウンセリングを振り返りながら、抱えている問題を整理し、どうすれば本当の意味で自分と向き合えるかを考え、提案してくださいました。
その際、私は「治してもらうんじゃない。自分が自分で治すんだ」ということに改めて気付きました。そして、日常の問題やカウンセリングで取り組みたいテーマを自分で考え、伝える努力を始めました。その結果、パートナーとの新しい生活をスタートする決断ができ、過食嘔吐のルーティンから抜け出せるようになったのです。今では、一人の食事の際も自分のために食事を作り、それを味わって楽しめるようになりました。
自分を思いやる心を育むために
大きな決断をする際にも、カウンセリングで一緒に整理し、勇気を持つことができました。また、職場やパートナーとの関係に悩んだときも先生の言葉を思い出し、立ち止まることで自分を見つめ直せるようになりました。そのたびに、この先生と出会えたことに感謝の思いを深くしています。
現在は、自分の思考や感情を言葉にして書き留めながら、月に一度のペースでカウンセリングを受けています。時折、自己否定的な考えにとらわれそうになることもありますが、先生のサポートで自分を思いやる心を取り戻し、前向きに歩む力を得ています。
これから一歩を踏み出す方へのメッセージ
摂食障害は、食べ物だけの問題ではなく、私たち自身が抱えるさまざまな困難や葛藤が背景にあることが多いと感じます。私も長い間、一人で苦しみながら、自分が本当に向き合うべき問題に気づけずにいました。しかし、専門的な支えを受けながら少しずつ問題を整理し、自分の内面と向き合うことで、前向きに歩む力を取り戻すことができました。
カウンセリングを通して気づいたのは、「完璧でなくてもいい」「焦らず自分のペースで歩んでいい」ということです。一人では難しいことも、信頼できる専門家と一緒ならば、一歩ずつ進んでいけると実感しました。
もし、今苦しみの中にいて、どうすれば良いか分からないと感じている方がいらっしゃるなら、どうか一人で抱え込まないでください。この先生は、親身に寄り添い、あなた自身が自分の道を見つけられるよう、全力でサポートしてくれるはずです。
不安や迷いはあって当然です。でも、その一歩を踏み出すことで、きっと新しい景色が見えてきます。安心して心を許せる場所で、自分自身を取り戻し、大切な人たちとの絆を深める力を一緒に育んでいけますように。あなたの勇気を応援しています。
カウンセラーからのメッセージ
過去の経験と摂食障害の関係
この利用者様は、他人から嫌われたり、居場所を失って傷ついたりすることがないように、痩せて綺麗で、いつも優しくて思いやりがある人でいなければならないと常に気を張ってこられました。でも満足のいく自分になれることはなかなかなく、自分を責めてしまうのでした。そうして他人との関係でも自分一人でいても、いつも何か満たされないような孤独な気持ちを抱えていらっしゃいました。
この利用者様のように過去に傷ついた体験によって警戒心を強め、様々なやり方でご自分を守ってこられた方はとても多くいらっしゃいます。その警戒心が人間関係において強く出てしてしまうと人との関係で安心を感じることできず、対人関係を避けたり、自分の気持ちを表現することが難しくなります。その結果、孤独感を強めるだけでなく、自分の本当の気持ちもわからなくなってしまうこともあるのです。
心を守るために働く症状
私たちの心は、傷つかないようにと自然に自分を守ろうとします。その結果、過食や過食嘔吐といった方法が、いつの間にか「辛さを和らげるための手段」となっていることが少なくありません。
ですが、その症状の奥には「本当は何が苦しいのか」「どんな気持ちを抱えているのか」という、心の本音が隠れています。何か満たされていない気がするけれど、自分が何を感じているのかはっきりわからない。だからどうやって満たしていいかわからないという状態になってしまいます。過食はそのような心の状態への対処法として役に立っているのです。
摂食障害は食べ物だけの問題ではない
この利用者様が書いてくださった「摂食障害は食べ物だけの問題ではない」という言葉は、そういった心の声に気づいていくことの大切さを教えてくれます。
私たちは、あなたが本来の自分に戻るお手伝いをする存在です。少しずつ、無理のないペースで、自分の気持ちを大切にしながら一緒に歩んでいきましょう。摂食障害という症状を越えて、自分を思いやる心を育て、日常の中で穏やかさや安心を取り戻すお手伝いをさせていただければと思います。
自分が本当は何を感じていて、本当に必要としているものは何なのかを理解し、それを自分に与えてあげられるようになれば、過食や過食嘔吐というやり方を使う必要はなくなります。そのような回復まで道のりを一緒に歩んでいきましょう。
迷っていても大丈夫。
まずは話してみませんか?
回復された方・変化を実感された方
実際の体験談を読む