はじめに|noteを読んでくださったあなたへ
note「頑張るのをやめたいのに、やめられないあなたへ」を読んでくださった方、ありがとうございます。
こちらでは、noteの記事の続きをお届けします。
もし、あの文章を読んで
「じゃあ、私はどうしたら少しでも楽になれるの?」
「“頑張りすぎ”ってどうやって手放せばいいの?」
そんなふうに感じたとしたら、それはあなたの心が少しずつ「今までのやり方から離れてみたい」と感じ始めている証かもしれません。
この記事では、
- なぜ「やめたいのにやめられない」のか?
- そこからどうやって抜け出していけるのか?
そんな心のしくみと、そこからの3ステップをわかりやすくお伝えしていきます。

上畠 真紀
公認心理師、精神保健福祉士
経験
18年以上のカウンセリング経験(精神科・心療内科)
専門分野
摂食障害、気分障害、トラウマ、対人関係
「頑張るのをやめたいのにやめられない」のはなぜ?
「やめられない」には理由がある
あなたが今、「頑張るのをやめたいのにやめられない」と感じているなら、
まずは、その気持ちを否定せず、こう声をかけてあげてください。
「それは、仕方なかったんだよ」
「ここまで本当によく頑張ってきたんだよね」
人は、ただの習慣や怠惰では頑張り続けたりしません。
「頑張ることが自分を守ってくれた」と、どこかで感じてきたからこそ、やめられないのです。
たとえば、こんな背景があるかもしれません。
● 「いい子」でいなければ愛されなかった
- 迷惑をかけちゃダメと言われてきた
- 弱音を見せると怒られた
- 頑張ったときだけ褒められた
こんな環境で育つと、自然と「頑張ることでしか安心できない」心のしくみができてしまいます。
「がんばらなきゃ、自分には価値がない」と、深いところで信じてしまうのです。
● 空気を読まなきゃ、自分の居場所がなかった
- 家族の雰囲気がピリピリしていた
- 親の顔色を見て行動するのが当たり前だった
- 本当はつらいのに「私は大丈夫」と言い続けてきた
その結果、自分の気持ちより「まわりとの調和」を優先するクセが染みついてしまいます。
本当の感情に気づかないまま、無理を重ねてしまうのです。
● 頑張っていれば、不安を感じずにすんだ
実は多くの人が、「不安」「孤独」「虚しさ」といった感情を避けるために頑張っています。
- 予定で埋め尽くされたスケジュール
- SNSでの“いい人”の顔
- 忙しさでごまかす心のスキマ
そうしたものは、あなたが「感じたくない気持ち」と向き合わなくてもいいようにするための工夫だったのかもしれません。
過去の体験が「頑張りぐせ」をつくってきた
あなたが今、「頑張るのをやめたいのにやめられない」と感じているなら、
まずは、その気持ちを否定せず、こう声をかけてあげてください。
「それは、仕方なかったんだよ」
「ここまで本当によく頑張ってきたんだよね」
人は、ただの習慣や怠惰では頑張り続けたりしません。
「頑張ることが自分を守ってくれた」と、どこかで感じてきたからこそ、やめられないのです。
今のあなたは「変化の入り口」にいる
そして今、この記事にたどり着いたあなたは、すでに大事なことに気づきはじめている人です。
「あれ?もしかして、ずっと無理してたのかも」
「このままのやり方では、もう持たないな」
「もう少し、力を抜いて生きたいな」
こうした感覚は、決して“弱さ”ではありません。
むしろ、あなたの中にいる「本当の自分」が、少しずつ目を覚まそうとしているサインです。
心の中の“頑張るパーツ”に目を向けてみよう(IFS的視点)
IFSとは? 心の中にいる「複数の自分」
カウンセリングの現場では、こうした「やめたいのにやめられない自分」と向き合うために、
「IFS(内的家族システム)」という心理モデルを用いることがあります。
IFSでは、私たちの心の中には「複数の自分(パーツ)」がいると考えます。
そして、そのすべてが「あなたを守るため」に存在しているとします。
たとえば、あなたの中にはこんな声があるかもしれません。
- 「もっと頑張らなきゃ!」と急かすパーツ
- 「もう無理…」と疲れきっているパーツ
- 「感じたくない!」と感情を凍らせているパーツ
それぞれの声は、まるで“心の登場人物”のように、あなたの中で役割を担っています。
本来、それらは敵ではなく、あなたがこれまで生きてくるために働いてくれた「守り手」たちなのです。
「もっと頑張れ」と言う声にも意味がある
では、なぜその“頑張るパーツ”はあなたを守ろうとするのでしょうか。
実は、多くの場合、そこにはこんな思いがあります。
- 感情を感じすぎると、つらすぎて壊れてしまう
- 立ち止まったら、無力感や虚しさに押しつぶされそうになる
- 弱さを見せたら、見捨てられる気がする
こうした不安や恐れがあるからこそ、「動き続ける」「がんばり続ける」ことが自分を守るための最善策だったのです。
頑張ることは、あなたが生き抜くために選んできた“サバイバル戦略”。
そして今、それが少しずつ役割を終えようとしているのかもしれません。
戦い方は人それぞれ。でも根っこには共通の願いがある
人はそれぞれ、違った形で「がんばりすぎてしまう」ことがあります。
たとえば…
- スケジュールを埋め尽くして、ひとりになる隙をなくす
- 「大丈夫」と言い続けて、誰にも助けを求めない
- まわりの期待を背負って、「ちゃんとした自分」でいようとする
このように、表面的な“戦い方”は人によって異なっても、
その奥にある思いには、似た部分があります。
「崩れてしまうのが怖い」
「安心できる場所がない」
「誰かに迷惑をかけたくない」
どれも、「ひとりでは耐えられないかもしれない」という深い不安を抱えた結果なのです。
「頑張りすぎていたかもしれない」と気づいたあなたへ
本当は、頼りたかった・弱さを見せたかった
あなたの中には、こんな小さな声が眠っていませんか?
- 「本当は、頼ってみたかった」
- 「本当は、ちゃんと弱音を吐いてみたかった」
- 「本当は、ありのままの自分を受け入れてほしかった」
それは、これまで見ないふりをしてきた“ほんとうの願い”かもしれません。
今、「このままだとつらい」と感じていることそのものが、
その願いがようやく心の表面に出てこようとしているサインです。
頑張っている自分も、頑張れなくなっている自分も、どちらも大切なあなた。
そのすべての自分を受け入れていくことが、変化のスタートラインになります。
じゃあ、どうすれば「頑張りすぎ」を手放していけるの?
とはいえ、「じゃあ明日からもう頑張るのをやめよう」と思っても、
実際にはそんなに簡単に手放せるものではありませんよね。
むしろ「やめなきゃ」と思えば思うほど、うまくいかない自分に落ち込んだり、自己嫌悪になってしまったりします。
だからこそ、「やめる」のではなく、
少しずつ“ゆるめていく”というやり方を提案したいのです。
次にご紹介するのは、そんなときに役立つ「心をゆるめる3つのステップ」。
今すぐ全部やらなくても大丈夫。
どれかひとつだけでも、あなたのペースで試してみてくださいね。
心をゆるめるための3つのステップ
ステップ①:「やめる」より「ゆるめる」から始める
「もう頑張るのはやめよう」と強く決意しても、
急に止まるのは、むしろ不安や恐怖を呼び起こしてしまうこともあります。
そんなときは、「やめる」ではなく「ちょっとゆるめる」ことから始めてみましょう。
たとえば、こんなふうに:
- 毎日完璧にやっていた家事や仕事を、「今日は7割でOK」としてみる
- 無理していた予定を「キャンセルしてもいいかも」と考えてみる
- 「~しなきゃ」ではなく、「今日は~したいかな?」と自分に問いかけてみる
- SNSの投稿や返信を「しなきゃ」から「休んでもいいかも」に切り替えてみる
小さな緩みを、自分でつくることができたら、
その日はぜひ自分にこんなふうに声をかけてみてください。
「よく頑張ってるね」
「今日はちょっと、自分にやさしくできたね」
この小さな選択が、「がんばりすぎない」感覚を取り戻す第一歩になります。
ステップ②:「やめられない自分」を責めない
何度も「やめよう」と思っているのに、気づいたらまた頑張ってしまう。
そんなとき、「なんでまた…」「私って本当にダメだな」と、自分を責めたくなることもあるかもしれません。
でも、そのときこそ、こう自分に言ってあげてほしいのです。
「頑張らないと、不安だったんだよね」
「あのときの私には、それが精一杯だったんだよね」
“頑張るクセ”は、あなたを守ってきた防衛反応です。
一種の「心の自動運転モード」のようなもので、無意識のうちにスイッチが入ってしまうこともあります。
責めるのではなく、気づいて、言葉をかけて、ねぎらってあげる。
それが、新しい選択を生み出す第一歩になります。
こんなふうに声をかけてみてください:
- 「ああ、また頑張っちゃってるな。大丈夫、大丈夫」
- 「今日もよくやったよ。そろそろ一息ついてもいいかも」
- 「しんどいのに動いた私、よくやったね」
自己批判の代わりに自己共感を。
その積み重ねが、心にやさしい空間を育てていきます。
ステップ③:安心できる人・場所とつながってみる
人は、「安心できる場所」でしか本当の意味で力を抜くことができません。
いくら「頑張るのをやめよう」と思っても、
安心できる環境がなければ、心のブレーキを外すことはとても難しいのです。
たとえば、こんな場所があなたの“安心の土台”になるかもしれません:
- 否定せずに話を聞いてくれる友人
- 気をつかわなくてもそばにいてくれる家族
- 泣いたり笑ったりしても大丈夫と思える場所
- カウンセリングなど、守られた安全な対話の場
「誰かに弱音を見せる」「自分の本音を少し話す」
その小さな体験が、少しずつあなたの中の“戦うモード”を解除してくれます。
もし今、「そんな場所、思い当たらない…」と思ったとしても、大丈夫です。
これから見つけてもいいのです。
大切なのは、「自分にはそういう場所があっていい」と心が認め始めることです。
最初の一歩は、「休んでもいいかもしれない」と思える瞬間から
- 少し力を抜いても大丈夫だと感じられること
- 完璧じゃない自分にも「それでいいよ」と言えること
- 頑張らなくても愛される自分を、少しずつ信じていくこと
そのすべては、
「ほんのちょっと立ち止まってみる」ことから始まります。
まとめ|「やめられなさ」は、あなたが生きてきた証
「頑張るのをやめたいのに、やめられない」
それは、あなたがこれまで、
必死に・真面目に・誠実に生きてきたことの証です。
誰かに迷惑をかけないように
ちゃんと期待に応えるように
自分のことは後回しにして、がんばってきた
——その努力は、決してムダではなかったし、
あなたの価値を証明してくれるものでもあります。
でも、もし今のあなたがこう思っているのなら…
「このままではもう続かない」
「もっと自分らしく生きてみたい」
その気持ちこそが、
あなたの内側から届いた、最も正直で優しい“心の声”なのです。…
カウンセリングという「安心の場」から始めてみませんか?
もし、あなたの心の中に
「誰かと一緒にこの心のバランスを整えてみたい」
「もう頑張らなくてもいいって感じてみたい」
そんな思いが芽生えたら——
カウンセリングという場も、あなたの選択肢のひとつになるかもしれません。
そこでは、「戦ってきた自分」も、「もう頑張れないと感じている自分」も、
どちらも否定せずに迎え入れて、一緒に“ゆるめる”ことを大切にしています。
話したくなったとき、心が動いたとき、いつでもあなたのペースで。
「少しだけ力を抜いてもいい」と思えるような関係と場所を、ここから一緒に作っていけたらと思います。
おわりに|この記事を読んでくださったあなたへ
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
あなたが今日、この記事と出会えたことが、
これからの自分にやさしくなっていくきっかけになりますように。
回復された方・変化を実感された方
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