気づくとスマホを見ながら食べていて、
いつの間にか食べ過ぎてしまうことはありませんか?
なんとなく不安でスマホを見続けて、気づいたら食べていた——
そんな経験がある方もいるかもしれません。
多くの人にとってスマートフォンは、もはや生活に欠かせない存在です。
ですがその使い方が、私たちの「食べ方」や「感情の扱い方」に影響を与えている可能性がある、という研究が報告されています。
2026年3月に発表されたシステマティックレビューでは、スマートフォンの問題的使用(PSU)と、摂食障害に関連する症状との間に関連があることが示唆されました。
今回はこの研究を手がかりに、
「なぜスマホと過食がつながるのか?」そして「どう向き合えばいいのか?」を一緒に見ていきます。

上畠 真紀
公認心理師、精神保健福祉士
経験
18年以上のカウンセリング経験(精神科・心療内科)
専門分野
摂食障害、気分障害、トラウマ、対人関係
研究でわかった「スマホ習慣」と「食」のつながり
この研究は、5万人以上を対象とした35件の研究を統合したものです。
その結果、スマートフォンの不適切な使用は、次のような状態と関連していることが示されました。
- 体型への不満(ボディイメージの低下)
- 感情的過食(ストレスや不安による食行動)
- 食べることのコントロール感の低下
また、スマホの使用時間が長いほど、これらの傾向が強まる可能性も指摘されています。
過食が止まらない原因は?スマホが「過食スイッチ」を入れる理由
では、なぜスマホの使い方が「食」の乱れにつながるのでしょうか。
研究では、その背景に
「感情調整の難しさ」や「不安・抑うつ」が関わっている可能性が示されています。
過食は単なる「食欲」ではなく、
つらい感情をやわらげるための“自己防衛”として起こることがあります。
感情の回避と“残り続けるざわざわ”
嫌なことや不安を感じたとき、スマホでスクロールを続けると、一瞬気が紛れることがあります。
けれどそのあと、
体の中にざわざわした感覚だけが残っていることはないでしょうか。
その行き場のない不快感が、
「食べる」という行動に向かいやすくなることがあります。
こうした流れは、
「過食してしまう→後悔する→また繰り返す」というパターンとも深く関係しています。
このループについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

自律神経の視点から
スマホを長時間使い続けることは、
神経系を「常に刺激された状態」に置きやすくなります。
こうした状態では、
- 衝動を抑える力が弱くなる
- 落ち着いて自分の状態を感じることが難しくなる
といった変化が起きやすくなります。
これは、自律神経の状態が食行動に影響するという視点とも重なります。
その仕組みについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

SNSが映し出す「比較の罠」
スマホを通して私たちが目にするのは、多くの場合「整えられた理想の姿」です。
無意識のうちに他者と自分を比べてしまい、
- 自分は足りていない
- もっとこうでなければいけない
といった感覚が強まることがあります。
こうした「足りなさの感覚」は、実はとてもつらいものです。
その苦しさをやわらげるために、
食べるという行動が選ばれることも少なくありません。
そしてまたスマホに戻る——
そんなループができてしまうこともあります。
このときに働く「過食スイッチ」については、こちらでも詳しく解説しています。

今日からできる「デジタルとの付き合い方」と食のセルフケア
今回の研究は、まだ因果関係を断定するものではありません。
また、過食の背景にはそれぞれの人生や体験があり、
スマホはあくまで一つの「きっかけ」や「影響因子」のひとつです。
それでも、スマホとの関わり方を少し見直すことは、
食行動を整える助けになることがあります。
無理のない範囲で、こんなことから始めてみてください。
「ながら食べ」を少しだけ減らしてみる
いきなり全部やめなくても大丈夫です。
まずは
最初の3口だけ、スマホを見ずに食べる
というところから始めてみてください。
味や食感に意識を向けることで、満足感が少しずつ戻ってきます。
スマホを手に取る前に「今の自分」を感じる
なんとなくスマホを開いたときに、
- 今、不安なのかな
- 退屈なのかな
と、ほんの一瞬だけ内側に目を向けてみます。
それだけでも、「無意識の行動」から少し距離が生まれます。
夜のスクリーンタイムをほんの少し減らす
いきなりやめる必要はありません。
たとえば
寝る前の5分だけ減らす
でも十分です。
神経系が落ち着く時間が増えることで、
翌日の食欲や衝動にも変化が出ることがあります。
おわりに:スマホとの距離は、自分との距離
スマートフォンはとても便利な道具です。
ただ、その使い方によっては、
自分の感覚や感情から少し離れてしまうこともあります。
「ちょっと使いすぎているかも」と気づいたら、
自分の状態に気づき始めているサインでもあります。
情報から少しだけ距離を置いて、
お腹の感覚や、今ここにある気持ちに意識を向ける時間を
ほんの少しずつ、増やしていけたらいいのかもしれません。
出典: 国際医学短信 2026年4月6日配信「スマートフォンの問題的使用、若年者の摂食障害関連症状と関連か」 (元論文:JMIR Mental Health 2026年3月9日掲載)
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