「治りたいけれど、治りたくない」
葛藤を抱えながら、自分自身を知っていくまで
そろそろ変わりたい、けれど変われない。
治りたいけれど、治りたくない。
そんな葛藤を抱えていた頃、私はこのカウンセリングに出会いました。
私は17歳で摂食障害と診断され、拒食症からすぐに過食嘔吐へと移行し、入院も3回経験しました。それから8年が経ち、「どうにかしなければ!」と思い切って過食嘔吐を専門とする主治医に変更した際、勧められたのがこのカウンセリングでした。

正直、これまでいくつものカウンセリングを受けてきた私は、「どうせカウンセリングでは治らない」と諦めていました。それでも、今回はもしかしたら……。そんな、藁にもすがる思いでカウンセリングを受けることにしました。
「まずはこの本を読んでみて」
そう言って、3冊の本を紹介していただきました。カウンセリングで本を勧められたのは初めてのことでした。
そこには、これまで自分の中で漠然としていた思いや感覚が言葉になって書かれていました。「わかる! わかる!」と、涙なしには読めませんでした。
また、回復のステップについて書かれた本を通して、今の自分がどの段階にいるのか、そして回復までにどのような道のりがあるのかを知ることができました。
本を通して学ぶことは、上畠先生との共通言語を得ることでもありました。「今の私はこんな感じ。でも、ここは少し違う」と、自分の感覚と照らし合わせながら、たくさんのことを共有していきました。

その後は、身の回りで起きたことや、自分の過去について話していきました。
知らず知らずのうちに、自分の中のマイナスな感情に蓋をしていた私。そんなつもりはなかったのに、話しているうちに涙があふれることもありました。自分の気持ちを言葉にすることで、初めて気づけた感情がたくさんあったのです。
当時、カウンセリングには月に1〜2回の頻度で通っていました。
回を重ねるうちに、私は自分の中にさまざまな「パーツ」があることに気づかされました。
すべてを管理したいパーツ。自分を頑張らせるパーツ。本当は疲れていて、休みたいパーツ……。
そんなパーツたちに対して、「えらいね」「よく頑張っているよ」「ありがとう」と、優しく見守る「セルフ」の力が、私には弱かったようです。
もちろん、最初から自分を客観的に見られたわけでも、自分のすべてを許せたわけでもありません。
さらに、自分の中にあるパーツたちの状態が、過食嘔吐の症状にもつながっていることが、少しずつわかってきました。
「ああ、またパーツが頑張りすぎちゃっているなぁ」
そんなふうに、自分の状態を捉えられるようになっていったのです。

自分の中のセルフを育てていくなかで、私はもうひとつ、大きな気づきを得ました。
それは、ずっと忌み嫌い、消し去ろうとしていた過食嘔吐が、実は自分を守るための大切な役割を果たしていたということです。
そんなふうに捉えられるようになるまで、約3年かかりました。
それでも諦めずにカウンセリングを続けてこられたのは、私にとってそこが、自分自身を知るための大切な場所だったからだと思います。
カウンセリングを続けるうちに、徐々に過食嘔吐の頻度に変化が現れました。毎日、毎食のように繰り返していた過食嘔吐が、次第に夜だけになっていったのです。
また、回復への道を歩み始めたことで、上畠先生だけでなく、周囲の人にも自分のことを話せるようになりました。「自分のことを知っておいてほしいだけで、特に何かしてほしいわけじゃないよー」と、気軽に伝えられるようにもなりました。それだけ、過食嘔吐に対する自分の見方も変わっていったのだと思います。
そして、過食嘔吐をしている自分には絶対に無理だと思っていた、友人との外食や旅行、恋人づくりにも挑戦できるようになりました。
すごく怖かったけれど、やってみたら意外とできた!
そんな経験を重ねるうちに、少しずつ自信がついていきました。
症状の波が強くなったときも、「カウンセリングのときに話そう」と、不安をいったん横に置いておけるようになってきました。

摂食障害で悩んでいる方へ。
治りたいけれど、治りたくない。早く過食嘔吐をやめたい。そんな焦る気持ちは、私も経験してきたからこそ、とてもよくわかります。
私は今でも、ときどき体重を落としたくなります。何でも食べられるようになったわけでもありませんし、過食嘔吐もしています。
それでも、今は「過食嘔吐があるからできない」と考えるのではなく、症状があってもできることを少しずつ増やしていくことが大切なのだと思っています。
そうやって行動を重ねていくことが、自分らしさを発見することにもつながりました。
これからもカウンセリングを通して、自分とは何かを探し続けていきたいと思っています。そして、いつか過食嘔吐に「ありがとう、お世話になりました」と伝えて卒業できる日を迎えられるよう、これからも準備を続けていきます。
怖くても、まずは始めてみること。そして、諦めずに続けていくこと。それが、何よりも自分の力になるのだと思います。
顔は知らなくても、どこかで同じように回復に向けて歩んでいる人がいる。そのことが、とても心強く感じられます。
この文章を読んでくださったあなたも、きっと一人ではありません。私の経験が、今悩んでいる方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
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